気合その2 「あ?」

 

おっす。塾長だ。今日は二度目の講義だ。出来るだけ簡潔に判りやすくを心がけてはいるが、文字ではなかなか伝えるのが難しいことも多いようだ。よくわからなかったらうやむやにせず、俺が悲鳴をあげんばかりにガンガン質問してきてくれ。

今日は俺を筆頭とする、日本全国総苦手のテーマについて話そうと思う。アメリケーンに話すためのこっ恥ずかしい必須事項「発音」だ。

ちなみに俺は英語の発音が苦手だ。こう、発音することも自身も苦手だが、アメリケーンに発音することに対する気恥ずかしさがその難しさを倍増させている。

その昔、西田ひかるが三宅裕司の「アップル」という発音に対して全然違うと放映中にいちゃもんを着けたのを見たことがある。ためしに彼女にしゃべらせてみたところ、「エァポ」。

三宅裕司はそれを聞くやいなや「うェ〜!なぁ〜にが「エァポ」だよ、へぇぇ〜ん!!」といじめっ子のような面持ちで思いっきり下あごと下唇突き出し、視聴者であった俺はさらに下腹まで突き出しまくって”アメリケーンな発音”に悪態をついたのでスジがつってしまった。恐らく日本全国で被害が多発したに違いない。

まぁこれは良い。日本国内だから良い。が、いざ悠久の島国日本を一歩出ると立場は逆転しちまう。西田ひかるは水を得た河童になり、三宅裕司はなす術もなく文句をいう言葉さえ知らずただホゾをかむハメになるのだ。

これではいかーん。いまや世界にはばたく経済大国日本の大半がそんなではいかーん。ここは思い切ってアメリケーンな発音への第一歩を踏み出さなきゃいかーん。それでもやっぱ、特に他の日本人とか一緒にいたりするとこっぱずかしくってモゾモゾしちまうけど、それでもやらなきゃいかーん。のである。

 

で、日本人が一般的に苦手とされる発音の筆頭は「th」と「r」だ。たしかにこの2つはナンブツだ。「th」は舌を噛めとか言われるが、舌を噛んではうまくしゃべれるものではない。「r」は「l(エル)」との区別が付かず、無闇に巻き舌を酷使すると舌を噛んでしまう。

俺の知人のアメリカ人が娘を紹介してくれたのは良いが、彼女の名前が「Laurel(ローレル)」などという殺人的な名前だったため、俺は舌を噛みまくって口内炎を大量生産し、さらにそれを”カリッ”と噛んでしまって絶叫を彼の邸宅に響かせるハメになっちまった。

だがしかーし!俺は敢えて言おう。日本人の英語がイマイチ通じないのはこれらの発音のせいではなーい(たぶん)。

「r」の発音は多分あまり無理に意識しすぎないほうがいい。スムーズに出てこないなら「らりるれろ」で置き換えてしまっても良いし、母音のあとに続いて伸ばすような発音(”er”とか”ar”とか)の時には無理に巻き舌にするよりもそのまま伸ばしてしまっても構わない。

「th」に付いては乾いた音の時には「t」の音、湿った発音の時には「d」の音に置き換えてしまおう。例えば「thousand」だったら、

「タウザンド」

でいいし、「these」だったら

「ディーズ」

でかまわない。これで充分通じるはずだ。また日本人はもとよりこのあたりは苦手を意識しているので、実際にはこの二つはどうにか判ってもらえることが多いだろう。

 

俺が思うに日本人の英語が通じない秘訣は「ボインの苦手」「テンポの苦手」にあるとみた。小学校でまずローマ字を習う日本人は、どうしても”aiueo”が”あいうえお”になっちまうのだ。俺は声を大にして言おう。違う違う、そ・お・じゃ、そ・お・じゃ・な〜ぁい〜ん!!

特に問題なのが”a”だ。これは”あ”と読むとき(発音記号でaみたいな奴かeが逆立ちしたやつ)と”え”(発音記号でaとeがくっついた奴)で大分違う。リンゴのことを三宅読みして「アップル」などといっちまうと、アメリカ人はきっと「up-le??」などとわけがわからなくなっちまう。ここはやはり西田読みで「エァポ」しかないのだ。

この”aとeのくっついた発音記号”は、(”あ”+”え”)/2のようにしばしば教えられるが、俺敵には90%くらい”え”のつもりで言ったほうが通じると思う。いや、103%だって良いくらいだ。だって日本語の”あ”は、単語によって”a”にも”u”にも”o”にもなったりするから、違いをはっきりさせたほうが良いのだ。

”o”も発音的には”お”というのはやめよう。読むのなら、単語によって”おぅ”か、”お”+”あ”/2で発音しよう。例えば「won't」は

「ウオゥント」

で、「not」だったら

「ナット」(”な”+”の”/2)

これで認識率は倍増するぞ。

 

そしてもう一つの苦手「テンポ」。自信のなさが生み出しているのだろうが、日本人はどうも一つ一つの文字を律儀に読みすぎる傾向がある。もっと不精でいいのだ。メリとハリがあれば後はいいかげんでいいのだ。

例えばリンゴは発音を意識するだけなら「エポ」でいいが、アクセントは先頭の”a”に付いているのでここを重点的に気合を入れて発音し、最後の”le”なんぞは流しちまおう。すると、ななななんと、石田読みの「エァポ」になるではないか!!

その他の発音の難しい単語でも、この技を使うと以外に楽に発音できたりするぞ。例えば”parallel”なんていう、ちょいと発音が難儀な単語がある(平行とか並列とかいう意味ね)。これは日本語読みしちまうと「ぱられる」だけど、これでは全く通じない。俺なんぞは10回くらい発音しなおしても通じなかった実績を持つほど通じやがらねぇ。

むむむむむぅ〜ん。これではいかんと思い、俺はまたすかさず辞書を引いたぞ。ペラリ、ペラリとな。するってぇと、なんと最初の”a”の発音は”え”のバージョンのヤツじゃぁねぇか。つまり俺は”ぺられる”と発音するべきだったのだ。

よしよししめた。次はテンポだ。ふぅむなになに、アクセントは”ぺ”と”れ”にあるとな。どうやら最初の”ぺ”をとくに強くしておけば良さそうだ。そうして俺の発音は最終的に”ぺられる”(”ら”と”る”はほとんど発音せず)となった。

確かにこの方が発音するにもやりやすい。何せこの単語は”r”や”l”が頻発しやがっているので、アメリケーンな発音するには四苦八苦していたのだ。そして試してみるや・・・通じるじゃねぇか。要は目立つ部分だけ気合を込めれば通じるものなのであった。

 

ちなみに今回は単語ごとでしか触れなかったが、会話を成立させるためにはテンポが本当に重要だ。これは聞き取り安さを増すと共に、伝えたい最重要内容を強調する役割も持っている。例えば”Thanks a lot.”というときに「サンクスアロット」と流さずに、「サンクス・ア・ロット」(ロットにチョイと気合を入れる)と、メリハリをつける単語をはっきりさせると言いようだ。

このあたりは、単語ごとに習得するよりは頻度の高い文から一文まとめてテンポを覚えるといいだろう。お気に入りの映画の1フレーズを覚えてアメリケーンに発音できるようにしてみるといい。何かの際に口にする機会が合ったら、すらすら言えて気分がいいぞ。

さぁ今日から「マック」でなくて「メック」と呼ぼうではないか。スマイルを0円で売りまくっているお姉ちゃんに向かって「ビックメックとポティトゥのSをくれ!」(アクセントは当然ビとテな!)と声を大にして言って見ようではないか!!

ではまた次回、諸君の健闘を祈る。

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質問その他は塾長室にて