気合その1 「罠?」

 

おっす。塾長だ。今日は初の講義でちょっと緊張している。まぁ気を楽にして聞いて欲しい。おっと、居眠りはするなよ。

俺が英語を学んできたなかで、一つ気付いたことがある。それは、奴らは英和辞書にのってねぇ言葉をよく使いやがるっていうイヤラシイー事実だ。

何年か前に大橋巨泉が”ぎみあぶれいく”なんつー番組をやってたのを覚えてるだろうか。なんじゃそりゃ一体何語だおいおまえとテレビにツッコミいれても巨泉の野郎はびくともしねぇ。が、見ると床に”GIMME A BREAK”と書いてある。

「なんでぇ英語なんじゃねぇか」と思ったが、俺には最初の”GIMME”がわからねぇ。俺はすかさず辞書をめくったね。そうよ、指にツバをつけて、ペラリペラリとな。

が、ななななんと”GIMME”は辞書には載っていなかった。巨泉はカナダに住んでるらしいから、ひょっとしてカナダ語か?と思ったが、本屋で「カナダ語の辞書をくれ」と言ったら店員の奴(仮名タニグチ)は笑いをかみ殺しながら”三省堂グローバル英和辞典”をよこしやがった。

「これじゃだめだ。この辞書には”GIMME”の意味が載ってねぇ。」と難癖をつけると、タニグチは鼻の穴を膨らましながら言ったね。

「塾長。”GIMME”ってのは”give me”の省略したヤツですよ。ふっ。」

俺はタニグチのせせら笑う鼻息に促されるように本屋を後にした。こぶしを石のように握りしめてな。

 

そう。アメリカ人は日常会話の中では、短縮された言葉をよくつかうのだ。そして最も良く使われる短縮形が”wanna”、”gonna”、そして”gotta”だ。

”wanna”は意味は”want to”と同じだ。時々”want a”にもなったりするが、要は「〜したい」とか「〜がほしい」時に使えば良い。例えばスキーに行きたかったら”I wanna go skying.”といった具合だ。

せっかく短縮形を使うからには、文全体を短縮気味で発音すると聞こえが良い。つい英語に自信がないと

「アイ ウォントゥ トゥ ゴー スキイング」(この間5秒)

などとやけに時間をかけて「スキー行きてぇ」を言ってしまうハメになるが、ここは短縮形を使って

「アワナゴースキーン」(この間2秒)

といった感じに、恥ずかしいのを我慢してアメリカーンな雰囲気をモロだしにして言ってみると意外に通じるものだ。アメリカーンな雰囲気がイマイチ頭に思い浮かばなかったら早見優を思い出してくれ。

これはちっとばっかし前に流行ったスパイスガールズの歌にも出ている。あの「ワナビー」っつーのは”wanna be”のことで、「〜になりたい」という意味だ。サビの部分の「イフュワナビーマイラーバー」っつーのは”If you wanna be my lover”のことで、あの部分では「私の彼氏になりたかったら、まず友達から始めることね」とエラそうなことを歌いやがって、しかも売れまくりやがっていたのだ。

 

”gonna”は”going to”の短縮形だ。が、これは実際にはbe動詞と一緒に使って”〜するつもりである”(be going to)という場合に使う。例えば「明日来る?」と聞きたければ”Are you gonna come tomorrow?”といった具合だ。

また、「〜へ行くつもりだ」と表現するときは”go”が二つ重なってしまってなんだか妙ちきりんな気分かもしれないが、これはそのまま重ねてしまって構わない。「俺は学校へ行くつもりだ」といいたければ”I'm gonna go to school.”となる。

これも全体的にナチュラルに短縮気味で発音するべし。

「アユゴナカムトゥモロゥ?」(この間1.5秒)

「アムゴナゴゥトゥスクール」(この間2秒)

 

最後の一つ”gotta”はちょっと複雑で”have got to”の略だ。本当は”have”が手前に無ければいけないのだが、不精なことにhaveはしばしば全く略されてしまう。意味的には”have to”と似ており、”〜したほうが良い””〜しなければならない”といった意味合いだ。

例えば「おまえ奴に会ったほうがいいぞ」と言いたければ”You('ve) gotta see him.”だ。「俺はちょっと厠だ」と言いたければ「I('ve) gotta goto restroom.」だ。これも思い切って

「ユガラスィヒム」(最後のムはほとんど発音しない。この間1秒)

「アイガラゴートゥレストゥルム」(この間2秒)

まぁこの辺の細かい発音は文字じゃむりだから、早見優やその他外人を見ながら各自研究してみてくれ。真似が上達の近道だ。

 

とにかく、こんな具合にアメリカ人は短縮形を会話の中や手紙で良く使う。ただ一つ気をつけたいのは、これらの表現は全てくだけて聞こえるということだ。つまり結構慣れた間柄なら別にOKだけど、初対面の場合は時と場合を選ばないと場違いな言葉遣いになりかねないということだ。

とはいえ、アメリカ人はもともと初対面でも結構なれなれしいので、ビジネスがらみでさえなければほとんど問題はないだろう。街角でお回りさんに話し掛けるようなときならバンバン使ってOKだ。

またこれらの表現は歌の歌詞や映画の台詞でヒッジョーによく耳にする。本日の講義を心にメモって置きながら映画や洋楽の中にこれらの表現を見つけたときは、その時点で一つの進歩といえよう。またたったそれだけでもなんとなく意味がわかってきて、「ハッピーうれピーよろピくね!」という気分になったりもするものだ。

聞いて判ったら真似して見るといいぞ。恥ずかしかったら一人でヤルといいぞ。上手に真似ができるようになると、より聞き取れるようになるものだ。まぁこのあたりは好き好きだがな。

さて、しゃべり続けて少し疲れた。少し休憩しよう。”gimme a break”、とまぁこんな具合だ。ではまた次回、諸君の健闘を祈る。

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